【短歌】毎日新聞・毎日歌壇・米川千嘉子 選・2015年4月28日
- 2015/04/28
- 07:38
これはいい? ときくと、
まあそれはいい、というので
ひろって、かごにいれる。
かご、どうしたの、ときみがいうので、
ひろったんだ、とこたえる。
星のふる丘で。
「星のふる丘で」はうそをついている。
うそをつかないでねおねがいだから、
ときみからいわれる。
これもひろっちゃっていいかな? ときくと、
まあいいかなそれも、というので
ひろってコートのポケットにいれる。
まさかそのトレンチもひろったんじゃないでしょう?
ときかれたので、
ある日森のなかで、
とわたしはこたえる。
「ある日森のなかで」がうそで、
おねがいだかはうそはつかないでねはやくかえってきてね、というきみのことばをおもいだす。
こんなんはどうだろう、ふやふやしてるひかるもの
とわたしはきみにきく。
どうかな、ときみがいう。
わたしは、またうそをつきそうになる。
うそはつきたくなかったから、わたしは、
星ひろう。なんでもひろわないでねときみにいわれる。「はい」とこたえる。 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇・米川千嘉子 選・2015年4月28日)
まあそれはいい、というので
ひろって、かごにいれる。
かご、どうしたの、ときみがいうので、
ひろったんだ、とこたえる。
星のふる丘で。
「星のふる丘で」はうそをついている。
うそをつかないでねおねがいだから、
ときみからいわれる。
これもひろっちゃっていいかな? ときくと、
まあいいかなそれも、というので
ひろってコートのポケットにいれる。
まさかそのトレンチもひろったんじゃないでしょう?
ときかれたので、
ある日森のなかで、
とわたしはこたえる。
「ある日森のなかで」がうそで、
おねがいだかはうそはつかないでねはやくかえってきてね、というきみのことばをおもいだす。
こんなんはどうだろう、ふやふやしてるひかるもの
とわたしはきみにきく。
どうかな、ときみがいう。
わたしは、またうそをつきそうになる。
うそはつきたくなかったから、わたしは、
星ひろう。なんでもひろわないでねときみにいわれる。「はい」とこたえる。 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇・米川千嘉子 選・2015年4月28日)
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