【短歌】これからの…(日経新聞・日経歌壇・2015年5月3日 穂村弘 選)
- 2015/05/03
- 12:15
これからのこの人生でどのくらい関係のないキスをみるのか 柳本々々
(日経新聞・日経歌壇・2015年5月3日 穂村弘 選)
選者の穂村さんから次の歌評をいただきました。ありがとうございました
「これからのこの人生でどのくらい」キスをするのか、ではないのが面白い。まったく別の角度から「人生」が浮かび上がった。 穂村弘
穂村さんの歌でこんな歌があるんですね。
蜂鳥、求婚、戦争が止まってる 言葉を習う窓の向こうで 穂村弘
言語化するってことは、いかなるかたちであれ〈関係〉を持つってことでもあるとおもうんですよ。
だから、非関係をことばにするのもひとつの関係のあるかただとおもうんです。
わたしにとって、キスや蜂鳥や求婚や戦争は縁のないことかもしれないけれど、でも窓からみえてしまった以上は、ことばとして関係せざるをえない。
そのとき、短歌が〈なぜ〉ブーストするのかっていうところに、定型が非関係を非関係的関係として巻き込んでいく秘密があるような気がするのです。
寺山修司がおそらくは見落としたと考へられるのは、一般化され得ない何ものかが個人個人に属してゐるといふ事態だ。ポスト虚構派に必要となるのは、例へばかうして寺山が見落としたものをいかにして回収してゆくかといふことにならうか。 荻原裕幸『短歌研究1991/10』
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