【お知らせ】「俳句自由詩協同企画評 時をかける〈俳句=詩〉−小津夜景「うきはしをわたる風景」を読む/渡る−」『詩客』
- 2015/06/28
- 12:45
『詩客』に「俳句自由詩協同企画評 時をかける〈俳句=詩〉−小津夜景「うきはしをわたる風景」を読む/渡る−」という文章を載せていただきました。『詩客』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!
お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。
細田守監督の『時をかける少女』を映画館でみたときのことを思い出しながら、かんがえてみました。
というよりも、むしろ、小津さんの詩とむかいあっているうちに、これは〈時をかける詩ょうじょ〉だとおもい、そこからもういちど枠組みとしてかんがえなおしていきました。
小津さんのハイクシも『時をかける少女』もそうだとおもうんですが、制限や枠組みをもった作品のなかで〈時間〉がうまれるにはどうしたらいいかというと、読み手の手をひいてある一定の長さを歩けばいいんじゃないか、とおもうんです。
だから、さいしょ、この文章のタイトルを、「おまえの手をひいて時のうきはしをわたった」というタイトルにしていたんです。
で、読み手の手をひいてわたる、ということは、作品のなかである構造と方向性を提出する。そしてその構造と方向性を読み手にすこしずつ体感させることで、時間を共有させてゆく。
そのとき、ひとは、時をかけてゆける、のではないかとおもうんですね。
だから、〈時間〉とは、じつは、〈長さ〉や〈ベクトル〉ではなくて、〈理解〉と〈馴致〉と〈順応〉だとおもうんですよ。あっとわかり、ああっと慣れ、あああっと走り方がわかること。
だから小津さんのシハイクでは、さいごに「こんな時間」といえたし、『時をかける少女』でもラストに「未来で待ってる」と「こんな時間」を提出できたんじゃないかとおもうんです。
そしてその「こんな時間」はだれにもつかまえることができない。その時間のなかを走ったものだけの〈特権〉だったはずです。
だから、みんなじぶんの足で時をかけて、はしった。
だから、手をひいてはしるタイトルはふさわしくないとおもった。
だから、「時をかける〈俳句=詩〉」となった。
声あるが故に光を振りむけばここはいづこも鏡騒(かがみざゐ)なり 小津夜景
お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。
細田守監督の『時をかける少女』を映画館でみたときのことを思い出しながら、かんがえてみました。
というよりも、むしろ、小津さんの詩とむかいあっているうちに、これは〈時をかける詩ょうじょ〉だとおもい、そこからもういちど枠組みとしてかんがえなおしていきました。
小津さんのハイクシも『時をかける少女』もそうだとおもうんですが、制限や枠組みをもった作品のなかで〈時間〉がうまれるにはどうしたらいいかというと、読み手の手をひいてある一定の長さを歩けばいいんじゃないか、とおもうんです。
だから、さいしょ、この文章のタイトルを、「おまえの手をひいて時のうきはしをわたった」というタイトルにしていたんです。
で、読み手の手をひいてわたる、ということは、作品のなかである構造と方向性を提出する。そしてその構造と方向性を読み手にすこしずつ体感させることで、時間を共有させてゆく。
そのとき、ひとは、時をかけてゆける、のではないかとおもうんですね。
だから、〈時間〉とは、じつは、〈長さ〉や〈ベクトル〉ではなくて、〈理解〉と〈馴致〉と〈順応〉だとおもうんですよ。あっとわかり、ああっと慣れ、あああっと走り方がわかること。
だから小津さんのシハイクでは、さいごに「こんな時間」といえたし、『時をかける少女』でもラストに「未来で待ってる」と「こんな時間」を提出できたんじゃないかとおもうんです。
そしてその「こんな時間」はだれにもつかまえることができない。その時間のなかを走ったものだけの〈特権〉だったはずです。
だから、みんなじぶんの足で時をかけて、はしった。
だから、手をひいてはしるタイトルはふさわしくないとおもった。
だから、「時をかける〈俳句=詩〉」となった。
声あるが故に光を振りむけばここはいづこも鏡騒(かがみざゐ)なり 小津夜景
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