【短歌】宇宙船…(毎日新聞・毎日歌壇2015年6月29日・米川千嘉子 選)
- 2015/06/29
- 21:31
宇宙船、消臭剤がおいてある なんだ地球と地続きじゃないか 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年6月29日・米川千嘉子 選)
【すべての出来事は林檎殺人事件】
きょう、おなじ米川欄に隣り合って内山佑樹さんの次の歌も掲載されていたんです。
歴史なんて勉強する意味あるのかとシェルターのなか子らに問われる 内山佑樹
隣り合うように内山さんの歌と並んでいたんですが、どちらもある密閉された空間における〈地続き〉と〈切断〉の歌なんじゃないかとおもうんですね。
シェルターのなかで歴史の切断をうったえるこどもたち、宇宙船のなかで連続にきづいてしまう〈わたし〉。
どちらも密閉された空間のなかで連続と非連続のテーマがでてくる。
そもそも定型そのものが密閉された空間であり、そのなかで連続や非連続をかんがえるのが短歌だともいえるのではないかとおもうのです。
そして、だからこそ、短歌では、〈一回性〉としての〈一〉が特権化されるのではないか。なぜなら〈一〉という数字は、すべてのすうじからせつだんされたオンリーワンとしての1であるとどうじに、2へ、10へ、100へとつづいていく、すべての連続への始原でもあるから。
逆立ちしておまへがおれを眺めてた たつた一度きりのあの夏のこと 河野裕子
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生 栗木京子
あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ 小野茂樹
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