【感想】最大の難関白いシャツを着る 竹井紫乙
- 2015/06/30
- 12:00
最大の難関白いシャツを着る 竹井紫乙
【難関に、立つ】
さいきんずっと紫乙さんの句集を持ち歩き・読み返していて、川柳っておもしろいなあとゆっくりおもいました。
川柳のいいところは、いっさつの句集のなかでいろんなスイングができるところなんじゃないかとおもうんです。
ボールにかるくあてたり、おもいっきりふってみたり、はじめからファールをねらっていったり、そこにうつようにみせかけてぜんぜんべつの場所にボールをうったり。
もちろん、スイングの微細なぶれ(それはたとえば助辞やことばの配置)によっておもいがけない打球がくりだされることもある。
長編小説は、いっかいおおきくゆっくりとひとつのボールをうちあげることになるとおもうんですが、川柳では千本ノックのように語り手がいろんな打球を展開してくる。
でも句集をいっさつ読み終えるとそこにひとつのおおきくて、ゆっくりとした巨大なスイングがあることが、わかる。
おもしろいな、とおもいました。
「白いシャツを着る」こと。
これを語り手は「最大の難関」だととらえています。
「最大の難関」ですから、語り手はこれまで、なんども「難関」にたちあってきたのだということがわかります。
でも、ようやく、ここまでたどりついた。マックスの難関です。わたしも「白いシャツを着る」ことは「最大の難関」だとおもいます。ベンチに座るまえにずっとベンチがペンキぬりたてじゃないか確認するようなにんげんなので。
でも、この川柳の〈勇気〉は、結語で「着る」と、〈着〉て終わったところにあります。
まだ「難関」を語り手はこえてはいないかもしれないけれど、しかし、そこに足をふみいれはした。ふみいれた。
とりあえずは、〈着〉たのです。
〈ここ〉が最大の難関なんだけれども、その〈ここ〉まではとりあえずたどりつくことができた。
わたしはときどきおもうんですが、〈問いかけ〉たひとは、もうすでに〈答え〉をもっているとおもうんですよね。問いかけることができたのであれば。
だから、この「最大の難関」である「白いシャツ」を「着」られた語り手は、難関をこえた〈そこ〉に立っているんじゃないかとも、おもいます。
あとは、〈ここ〉から〈そこ〉にいくまでの〈物語〉をたのしむだけだと。
たとえそれがどんなにこえがたい難関だとおもえても、〈やってみる〉と、いがいにその〈やってみた〉ことのなかに〈抜け道〉がでてくるものです。あとは、わお、よくやったよね、といってお菓子をくれるひとも。
愛してる棚のお菓子は皆あげる 竹井紫乙
【難関に、立つ】
さいきんずっと紫乙さんの句集を持ち歩き・読み返していて、川柳っておもしろいなあとゆっくりおもいました。
川柳のいいところは、いっさつの句集のなかでいろんなスイングができるところなんじゃないかとおもうんです。
ボールにかるくあてたり、おもいっきりふってみたり、はじめからファールをねらっていったり、そこにうつようにみせかけてぜんぜんべつの場所にボールをうったり。
もちろん、スイングの微細なぶれ(それはたとえば助辞やことばの配置)によっておもいがけない打球がくりだされることもある。
長編小説は、いっかいおおきくゆっくりとひとつのボールをうちあげることになるとおもうんですが、川柳では千本ノックのように語り手がいろんな打球を展開してくる。
でも句集をいっさつ読み終えるとそこにひとつのおおきくて、ゆっくりとした巨大なスイングがあることが、わかる。
おもしろいな、とおもいました。
「白いシャツを着る」こと。
これを語り手は「最大の難関」だととらえています。
「最大の難関」ですから、語り手はこれまで、なんども「難関」にたちあってきたのだということがわかります。
でも、ようやく、ここまでたどりついた。マックスの難関です。わたしも「白いシャツを着る」ことは「最大の難関」だとおもいます。ベンチに座るまえにずっとベンチがペンキぬりたてじゃないか確認するようなにんげんなので。
でも、この川柳の〈勇気〉は、結語で「着る」と、〈着〉て終わったところにあります。
まだ「難関」を語り手はこえてはいないかもしれないけれど、しかし、そこに足をふみいれはした。ふみいれた。
とりあえずは、〈着〉たのです。
〈ここ〉が最大の難関なんだけれども、その〈ここ〉まではとりあえずたどりつくことができた。
わたしはときどきおもうんですが、〈問いかけ〉たひとは、もうすでに〈答え〉をもっているとおもうんですよね。問いかけることができたのであれば。
だから、この「最大の難関」である「白いシャツ」を「着」られた語り手は、難関をこえた〈そこ〉に立っているんじゃないかとも、おもいます。
あとは、〈ここ〉から〈そこ〉にいくまでの〈物語〉をたのしむだけだと。
たとえそれがどんなにこえがたい難関だとおもえても、〈やってみる〉と、いがいにその〈やってみた〉ことのなかに〈抜け道〉がでてくるものです。あとは、わお、よくやったよね、といってお菓子をくれるひとも。
愛してる棚のお菓子は皆あげる 竹井紫乙
- 関連記事
-
- 【感想】最大の難関白いシャツを着る 竹井紫乙 (2015/06/30)
- 【感想】この町はそうね赤川次郎だわ なかはられいこ (2015/06/23)
- 【感想】私の部屋にあふれる通行人 佐藤みさ子 (2015/06/11)
- 【感想】出なくてもいい時に出るアルファ波 竹井紫乙 (2015/09/30)
- 【感想】黙々と生きるパズルが解けるまで 松山芳生 (2015/10/03)
スポンサーサイト
- テーマ:読書感想文
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:勇気が出る川柳