【感想】「がんばりたくない」とつぶやく天の川 佐藤みさ子
- 2015/07/06
- 20:09
「がんばりたくない」とつぶやく天の川 佐藤みさ子
【七夕に、たちむかう】
七夕ですね。
七夕といえば、天の川です。
はらだ有彩さんが七夕伝説と距離をめぐる女の子について文章を書かれていて、それを読んだときにおもったんですが、「七夕」=「天の川」っていうのは〈きょり〉をめぐる物語なんですね。
くっつくこととくっつかないことの引力と磁力をめぐる物語、作用と反作用をめぐる物語が〈七夕=天の川〉なんです。
だから、わたしたちはこういうべきではないでしょうか。
七夕=天の川とは、はじめから、がんばらねばならないイヴェントなんだと。
そしてそれはおそらく各種のメディアによって系譜だてられて用意されたイヴェントがそうなのです。
クリスマスも、ヴァレンタインも、父の日も、母の日も、敬老の日も、こどもの日も、誕生日も、われわれはメディアがお膳立てしてくれているアニバーサリーがくるたびに〈がんばらなければならない〉わけです。
そして、だからこそ、なのです。
「がんばりたくない」と天の川じしんがつぶやく。つぶやいてくれる。
わたしはいまちょっと衝撃をうけているんですが、もしかしたら、これは歴史上はじめて天の川がしゃべったのではないでしょうか。「がんばりたくない」と。
彦星が「好きだよ、ハニー」としゃべることはあったかもしれない。織姫が「だいすきなんだよきみのこと」と話すこともあったかもしれない。
でも背後で天の川はずっとだまっていた。沈黙していた。
ところが、佐藤みさ子というメディアを介してとつぜん天の川は発声したのです。
「がんばりたくない」と。
おののき、おびえる彦星と織姫。
うつむいて、体育座りをしている天の川。
動物の言葉わかれば怖いだろう 佐藤みさ子
【七夕に、たちむかう】
七夕ですね。
七夕といえば、天の川です。
はらだ有彩さんが七夕伝説と距離をめぐる女の子について文章を書かれていて、それを読んだときにおもったんですが、「七夕」=「天の川」っていうのは〈きょり〉をめぐる物語なんですね。
くっつくこととくっつかないことの引力と磁力をめぐる物語、作用と反作用をめぐる物語が〈七夕=天の川〉なんです。
だから、わたしたちはこういうべきではないでしょうか。
七夕=天の川とは、はじめから、がんばらねばならないイヴェントなんだと。
そしてそれはおそらく各種のメディアによって系譜だてられて用意されたイヴェントがそうなのです。
クリスマスも、ヴァレンタインも、父の日も、母の日も、敬老の日も、こどもの日も、誕生日も、われわれはメディアがお膳立てしてくれているアニバーサリーがくるたびに〈がんばらなければならない〉わけです。
そして、だからこそ、なのです。
「がんばりたくない」と天の川じしんがつぶやく。つぶやいてくれる。
わたしはいまちょっと衝撃をうけているんですが、もしかしたら、これは歴史上はじめて天の川がしゃべったのではないでしょうか。「がんばりたくない」と。
彦星が「好きだよ、ハニー」としゃべることはあったかもしれない。織姫が「だいすきなんだよきみのこと」と話すこともあったかもしれない。
でも背後で天の川はずっとだまっていた。沈黙していた。
ところが、佐藤みさ子というメディアを介してとつぜん天の川は発声したのです。
「がんばりたくない」と。
おののき、おびえる彦星と織姫。
うつむいて、体育座りをしている天の川。
動物の言葉わかれば怖いだろう 佐藤みさ子
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