【あとがき】岩松了『隣りの男』のあとがき
- 2015/07/08
- 17:59
それにしても、人間にとって、具体を備えてしまう、とは、何と無念なことでしょう。頭の中でどんな無限の思考・想像をしても、あらわれる具体は、有限どころか、それから見事に逸脱している場合すらあるのです。
「お仕事は何を?」
「いえ、会社員です」
この会話に隠された人間の無念。
その具体が悲しいではありませんか。ひとりの人間、そう呼ぶしかなかったはずのものが、いつしか呼ばれているのです。
……人間は具体から逃れることはできない……しかし、その無念は、結局のところ、劇作家である私を、具体の向こう側へ手招きするという仕組みです。
岩松了「あとがき」『隣りの男』
「お仕事は何を?」
「いえ、会社員です」
この会話に隠された人間の無念。
その具体が悲しいではありませんか。ひとりの人間、そう呼ぶしかなかったはずのものが、いつしか呼ばれているのです。
……人間は具体から逃れることはできない……しかし、その無念は、結局のところ、劇作家である私を、具体の向こう側へ手招きするという仕組みです。
岩松了「あとがき」『隣りの男』
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