【こわい川柳 第六十八話】発送手続きをされるわたし-小野五郎-
- 2015/07/22
- 13:00
病院で青い荷札をつけられる 小野五郎
【出荷済みのわたし】
月波与生さんが「現代川柳ゆうゆう夢工房」で小野五郎さんの川柳を紹介されています。
月波さんは五郎さんの川柳さんを「崩れる直前、何か別なものに変わろうとしているようにも見える不思議な川柳」と評されています。
この月波さんのことばから始めてみれば、掲句の五郎さんの句。患者として病院にきていたはずの〈わたし〉が発送される〈荷物〉に変わるしゅんかんを描いています。
かんがえてみると、病院というのは、そもそもがそういう場所です。
わたしたちは診察を受けに病院にいくのではなく、ある意味、ラベルを、レッテルを、病名を、貼られるために、〈名前〉を手にいれるために病院にいくのです。
名付けされるために、そしてその名前からじぶんで意味を生成し、わたしはこういう病気なんだ、だからこう生きなければならない、とあたらしい意味生活をおくるために病院にいくのです。
この五郎さんの「荷札」に「青い」カラーがついているところもおもしろいとおもうんですね。つまり、「荷札」や「ラベル」には〈偏差〉があるということです。カラーが。
だから無色透明な荷物になって病院から発送されるわけでなく、あるバイアスをともなって発送される。しかも行く病院によって診察・診断・名付け・ラベルの方法は変わってくるでしょうから、やはりそうした〈偏差〉のようなものをあらわしているのではないかとおもうんです。
ちなみに、逆ラベルによって、ふっと〈わたし〉が変わってしまうこんなしゅんかんも五郎さんは描いています。
もしかしたらいままでまるいにんげんたちが必死になって隠していたものが露開してしまうかもしれないしゅんかんです。やってはいけないこと。たとえば、
人体に三角定規はいけません 小野五郎
【出荷済みのわたし】
月波与生さんが「現代川柳ゆうゆう夢工房」で小野五郎さんの川柳を紹介されています。
月波さんは五郎さんの川柳さんを「崩れる直前、何か別なものに変わろうとしているようにも見える不思議な川柳」と評されています。
この月波さんのことばから始めてみれば、掲句の五郎さんの句。患者として病院にきていたはずの〈わたし〉が発送される〈荷物〉に変わるしゅんかんを描いています。
かんがえてみると、病院というのは、そもそもがそういう場所です。
わたしたちは診察を受けに病院にいくのではなく、ある意味、ラベルを、レッテルを、病名を、貼られるために、〈名前〉を手にいれるために病院にいくのです。
名付けされるために、そしてその名前からじぶんで意味を生成し、わたしはこういう病気なんだ、だからこう生きなければならない、とあたらしい意味生活をおくるために病院にいくのです。
この五郎さんの「荷札」に「青い」カラーがついているところもおもしろいとおもうんですね。つまり、「荷札」や「ラベル」には〈偏差〉があるということです。カラーが。
だから無色透明な荷物になって病院から発送されるわけでなく、あるバイアスをともなって発送される。しかも行く病院によって診察・診断・名付け・ラベルの方法は変わってくるでしょうから、やはりそうした〈偏差〉のようなものをあらわしているのではないかとおもうんです。
ちなみに、逆ラベルによって、ふっと〈わたし〉が変わってしまうこんなしゅんかんも五郎さんは描いています。
もしかしたらいままでまるいにんげんたちが必死になって隠していたものが露開してしまうかもしれないしゅんかんです。やってはいけないこと。たとえば、
人体に三角定規はいけません 小野五郎
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