【感想】あとがきのように寂しいひつじ雲見上げてきみのそばにいる夏 大森静佳
- 2015/07/27
- 01:00
あとがきのように寂しいひつじ雲見上げてきみのそばにいる夏 大森静佳
【あとがきってなんですか、とふいにきかれる】
あとがき、ってよくわからないんですよ。
こないだ、あとがきってなんなんですか、っていわれて、わたしはそのときブランコに乗ってたんですけど、わかりません、っていったんですよ。
わたしもあとがきを調べようとおもって、本屋さんにいって、あとがきマニュアルをさがしたんだけど、ないんですよ一冊も、と。
あの、あとがきってみんないったいどうやって書いてるんです、なんでわかったんです、書き方が。
ってぎゃくに質問しちゃったんですよ。ブランコこぎながら。しかも両脚をつきだすブランコのこぎかただったんですよ。かなり、だいたんなこぎかたをしていたわけです。そのままぶるぶる夕陽につっこんでいくんじゃないかってくらいに。ここで鎖がきれたら、コーエン兄弟の映画の事故シーンみたいに、ぱあんとわたしは飛んでいくんだろうな、とおもって。ブランコではじめて地球を離陸したひとりのにんげんとして。
ただそれでも、ひとつわかることがあります、はっきりと。と、わたしはいったんです。そのひとに。
なんですか、とそのひとがいう。そのひとはシーソーにのっていたんです。またちょっとめんどうな距離感だったんですよ。
わたしは、いったんです。あとがきっていうのは、あとに書かれるものだと。ほんとうにそれだけなんです、と。でもそれだけが、いつも本にとっては決定的になるんです、と。
だから、あとがきとはやり方じゃないんですよ。マニュアルでもない。方法なんかじゃない。
あとがきっていうのは、〈終わり〉なんですよ。
だから大森さんの歌は〈終わり〉にみちている。
こんなにもきみのそばにいるのに、雲があとがきに感じられたから。
あとがきっていうのは、〈おわり〉という位置性のことなんです。
だからわたしはいつもかなしいことがあると、それをおわらせるために、ブランコをこぐんですよ、と。マイケルみたいに。
マイケル? ってあいてがききかえしたんですよ。
でも、わたしは、なにもこたえなかったんです。
わたしはもうあとがきを漕ぎ終えたあとだったから。
きみいなくなればあめでもひかるまちにさかなのようにくらすのだろう 大森静佳
【あとがきってなんですか、とふいにきかれる】
あとがき、ってよくわからないんですよ。
こないだ、あとがきってなんなんですか、っていわれて、わたしはそのときブランコに乗ってたんですけど、わかりません、っていったんですよ。
わたしもあとがきを調べようとおもって、本屋さんにいって、あとがきマニュアルをさがしたんだけど、ないんですよ一冊も、と。
あの、あとがきってみんないったいどうやって書いてるんです、なんでわかったんです、書き方が。
ってぎゃくに質問しちゃったんですよ。ブランコこぎながら。しかも両脚をつきだすブランコのこぎかただったんですよ。かなり、だいたんなこぎかたをしていたわけです。そのままぶるぶる夕陽につっこんでいくんじゃないかってくらいに。ここで鎖がきれたら、コーエン兄弟の映画の事故シーンみたいに、ぱあんとわたしは飛んでいくんだろうな、とおもって。ブランコではじめて地球を離陸したひとりのにんげんとして。
ただそれでも、ひとつわかることがあります、はっきりと。と、わたしはいったんです。そのひとに。
なんですか、とそのひとがいう。そのひとはシーソーにのっていたんです。またちょっとめんどうな距離感だったんですよ。
わたしは、いったんです。あとがきっていうのは、あとに書かれるものだと。ほんとうにそれだけなんです、と。でもそれだけが、いつも本にとっては決定的になるんです、と。
だから、あとがきとはやり方じゃないんですよ。マニュアルでもない。方法なんかじゃない。
あとがきっていうのは、〈終わり〉なんですよ。
だから大森さんの歌は〈終わり〉にみちている。
こんなにもきみのそばにいるのに、雲があとがきに感じられたから。
あとがきっていうのは、〈おわり〉という位置性のことなんです。
だからわたしはいつもかなしいことがあると、それをおわらせるために、ブランコをこぐんですよ、と。マイケルみたいに。
マイケル? ってあいてがききかえしたんですよ。
でも、わたしは、なにもこたえなかったんです。
わたしはもうあとがきを漕ぎ終えたあとだったから。
きみいなくなればあめでもひかるまちにさかなのようにくらすのだろう 大森静佳
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