【感想】はつなつになる方法がひとつある 近恵
- 2015/08/25
- 12:00
はつなつになる方法がひとつある 近恵
【自信過剰な秘密主義者たち】
この句に対して六番町さんが「ほほう。自信家のうえ秘密主義。」(「創刊6周年記念誌上句会 【法】」)
と評されていて、すごくおもしろい寸評をなさるなとおもったんですが、じつはこの寸評が的確にそっくりあてはまるのが川柳界にもあってですね、これじゃないかと、わたし、おもったんですよ。
まだ言えないが蛍の宿はつきとめた 八木千代
近さんの句の語り手も、八木さんの句の語り手も、どちらも〈確信〉してるわけですよ。「自信家」なわけですね。「方法がひとつある」、もしくは「つきとめた」って。しかもどちらも演劇的で、《むだに》ドラマチックな語り口を採用してるわけですよ。確信しているのに、ドラマチックな物言いを採用したせいで、その確信にふれずに定型が終わってしまった。だから、「秘密主義」になってしまった。もったいぶったせいで確信を披瀝するまえに終わっちゃった。
それがこのふたつの句のおもしろさだとおもうんでね。
定型はですね、いくら確信していても、はやく、てばやく、じんそくに、いってもらわないと終わってしまうんですよ。しかも一生涯われわれにそれを聴く機会はあたえられないんですよ。
だから、「はつなつになる方法」も「蛍の宿」がどこかも、わからないんです。わかる場所にいたはずなのに。
これをひとことでなんといえばいいかというと、こんなふうなかんじになるんじゃないかとおもうんです。
《遅延されたサスペンス》。
またの名はスネーク・スネオと申します 広瀬ちえみ
【自信過剰な秘密主義者たち】
この句に対して六番町さんが「ほほう。自信家のうえ秘密主義。」(「創刊6周年記念誌上句会 【法】」)
と評されていて、すごくおもしろい寸評をなさるなとおもったんですが、じつはこの寸評が的確にそっくりあてはまるのが川柳界にもあってですね、これじゃないかと、わたし、おもったんですよ。
まだ言えないが蛍の宿はつきとめた 八木千代
近さんの句の語り手も、八木さんの句の語り手も、どちらも〈確信〉してるわけですよ。「自信家」なわけですね。「方法がひとつある」、もしくは「つきとめた」って。しかもどちらも演劇的で、《むだに》ドラマチックな語り口を採用してるわけですよ。確信しているのに、ドラマチックな物言いを採用したせいで、その確信にふれずに定型が終わってしまった。だから、「秘密主義」になってしまった。もったいぶったせいで確信を披瀝するまえに終わっちゃった。
それがこのふたつの句のおもしろさだとおもうんでね。
定型はですね、いくら確信していても、はやく、てばやく、じんそくに、いってもらわないと終わってしまうんですよ。しかも一生涯われわれにそれを聴く機会はあたえられないんですよ。
だから、「はつなつになる方法」も「蛍の宿」がどこかも、わからないんです。わかる場所にいたはずなのに。
これをひとことでなんといえばいいかというと、こんなふうなかんじになるんじゃないかとおもうんです。
《遅延されたサスペンス》。
またの名はスネーク・スネオと申します 広瀬ちえみ
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