【川柳連作と散文】「2020年の啄木忌」『川柳の仲間 旬』201号・2015年9月号掲載作
- 2015/08/31
- 21:05
球根を持ったまま出る啄木忌
だあれだと弥勒菩薩の手ですね
2020年にきみの手をけなす
『東京日記』に見切れて映る啄木
瀕死の啄木にカロリーメイトを頬張らせる
少女革命、と最後に口にした啄木
啄木の手だけが展示されている
機械化がほどこされてる「ぢつと手をみる」
『ローマ字日記』のNはのびのび太
マスオさんが着るABC浴衣 啄木忌
「2020年の啄木忌」
2020年以前にも「ぢつと手をみ」ていたが、2020年を超えるまさにそのしゅんかんにもわたしは「ぢつと手をみ」ていた。それから2020年をすこしこえたあとでも「ぢつと手をみ」てから、わたしは恋人に、なんだこれ、たいしたことないね、といった。恋人がわたしの手をとる。つまらない手、という。エキサイトしない手だ、と。そうして、そういえば2050年に啄木の「ぢつと手をみ」るための手が量産されるっていうんだけど、と恋人が、いう。そうなの、とわたしはいう。アップデートもひんぱんにできる手なんだって。そう。きょうは、日曜だ。2020年をこえても、まだ、日曜が、ある。わたしに、恋人はいなかった。
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【イマージュ題「あおいくませこばさけるなこれもあり」】
「お逃げなさい」俺の手を取りクマが云う 柳本々々
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【課題句「節目」】
このあたり虹の切れ目だ 立ってみる 柳本々々
(樹萄らき、千春、桑沢ひろみ、小池孝一、丸山健三 選)
翼の折れた飛行機ばかり飛んだ 〃
(川合大祐 選)
つるぎのようなお手紙がくる真夏 〃
(川合大祐 選)
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蛍から螢に変わる近づけば 大川博幸
羽ばたきの音急かされる急かされる 樹萄らき
二本足それもひとつの奇形なり 川合大祐
霧雨の語らい 豪雨の殴り合い 千春
太陽の期限を守る河童たち 桑沢ひろみ
にんげんに見つからぬよう咲くんだよ 小池孝一
カッコいい青年たちを稲という 丸山健三
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大川博幸さんから拙句をマンガ化していただきました。ありがとうございました!
メカニカル・マサオカシキと手をつなぐ 柳本々々
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本号川柳『旬』のレポートはこちらです。
「【川柳誌を読もう】崩壊すとりいいいむ-『川柳の仲間 旬』201号を鑑賞しながら流される-」
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