【短歌】図書館で…(「第90回 短歌ください(お題:図書館)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2015年10月号)
- 2015/09/04
- 23:14
図書館で待ち合わせたがうつむいたひとばかりだから耳で探した 柳本々々
(「第90回 短歌ください(お題:図書館)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2015年10月号)
【ここではみんな、すてきに、じっとしている】
図書館ってすてきな場所だなっておもっていて、なにがすてきかっていうと、あんなにみんながじっとしている場所もないだろうとおもうんですよね。
しかもだれかにいわれたわけでもない、じっとしてろと脅迫されたわけでもない、強制的に集められたわけでもない。
みんな自主的に集まってきて、じっとしてるんですよ。自主的にじっとしてる。
それが、すてきだなっておもうんですよ。
本がいっぱいああることがすてきなんじゃない。本を読むひとたちばかりが集まっていることがすてきなわけじゃない。みんなだれに強制されることもなく、あちこちから集まってきて、おなじ空間で、じっとしている。
図書館って館(やかた)ですから、じっとしている館なんですよ。
だから、いつでも「じっ」っていう擬音がこだましている。それがすてきだよね、っておもうんです。
こんなにすてきな「じっ」にみちあふれている場所は、そうそうないんじゃないかなって。
冷蔵庫が息づく夜にお互いの本のページがめくられる夜 穂村弘
- 関連記事
スポンサーサイト
- テーマ:読書感想文
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:々々の短歌