【短歌】毎日新聞・毎日歌壇2015年9月7日・加藤治郎/米川千嘉子 選
- 2015/09/07
- 12:30
総理の私が言うんだから間違いはありません 信号を渡る 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年9月7日・加藤治郎 選)
【Twitterで加藤治郎さんから頂いた選評】2字空けというレトリックは、新聞歌壇では、初めてだろう。総理との距離のメタファーになっている。あまりに空虚だ。/2字空けが、有意となった例として、貴重な作品だ。/ためらいがちに信号を渡るのだ。/2字空けが、重々しい空気を現出している。そして、歩行者の惨劇が、視えるのだ。/under control!
【二音の途上】
デモって音律をつけて歌いながら歩くものだとおもうんですよね。というよりも、今年はしばしばきいていて、そうおもったんです。
そうじゃないと行進できないし、みんなで斉唱できない。ばらばらになってしまう。だとしたら、音律とは、なんなのか。
この夏、なんどもデモ行進をみ・ききしながら、短歌のことを、定型のことをかんがえなおしていました。
ひとはなにかに参加するとき、ともに集い、声をあげるときに、節をつける、音節をつける、一音あける、二音あける、休符をつける、拍をつける、それはなんでだろう、って。
〈標語〉っていうものがありますが、メッセージ性と定型はわたしたちの身体といっしょにいろんな日常的なぶぶんで関わっているとおもうんです。
定型はきもちよさをもたらすし、そのきもちよさによって速度ももたらすけれど、どうじに、きもちわるさとはなにか、いまなにがその速度によって捨てられようとするのかも、マクロなレベルやミクロなレベルで問いかけてくるようにもおもう。
そうかんがえてぼんやりしていたら、いっしょに歩いていたひとに、もう青なんですけど「わたりませんか」と言われて、七音だとも、おもう。
センサーは私の隣にいつもいて明滅してる にんげんのこと 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年9月7日・米川千嘉子 選)
(毎日新聞・毎日歌壇2015年9月7日・加藤治郎 選)
【Twitterで加藤治郎さんから頂いた選評】2字空けというレトリックは、新聞歌壇では、初めてだろう。総理との距離のメタファーになっている。あまりに空虚だ。/2字空けが、有意となった例として、貴重な作品だ。/ためらいがちに信号を渡るのだ。/2字空けが、重々しい空気を現出している。そして、歩行者の惨劇が、視えるのだ。/under control!
【二音の途上】
デモって音律をつけて歌いながら歩くものだとおもうんですよね。というよりも、今年はしばしばきいていて、そうおもったんです。
そうじゃないと行進できないし、みんなで斉唱できない。ばらばらになってしまう。だとしたら、音律とは、なんなのか。
この夏、なんどもデモ行進をみ・ききしながら、短歌のことを、定型のことをかんがえなおしていました。
ひとはなにかに参加するとき、ともに集い、声をあげるときに、節をつける、音節をつける、一音あける、二音あける、休符をつける、拍をつける、それはなんでだろう、って。
〈標語〉っていうものがありますが、メッセージ性と定型はわたしたちの身体といっしょにいろんな日常的なぶぶんで関わっているとおもうんです。
定型はきもちよさをもたらすし、そのきもちよさによって速度ももたらすけれど、どうじに、きもちわるさとはなにか、いまなにがその速度によって捨てられようとするのかも、マクロなレベルやミクロなレベルで問いかけてくるようにもおもう。
そうかんがえてぼんやりしていたら、いっしょに歩いていたひとに、もう青なんですけど「わたりませんか」と言われて、七音だとも、おもう。
センサーは私の隣にいつもいて明滅してる にんげんのこと 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年9月7日・米川千嘉子 選)
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