【川柳・連作】「がぜん犀」『おかじょうき』2015年9月号掲載作
- 2015/09/17
- 20:44
貝に耳をあてれば猫のおてがみ
真夜中を桃のかたちに切り開く
トイレあけるとがぜん犀でした
靴底に姉がたまっていくアニメ
漫然がハンググライダーでやってくる
柳本々々「がぜん犀」『おかじょうき』2015年9月号
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むさしさんから次のていねいな句評をいただきました。ありがとうございました!
トイレあけるとがぜん犀でした 柳本々々
柳本々々さん、この句ってギョギョ!です~。「あける」は「開ける」で、「がぜん」は「俄然」で「急に」とか「突然」という意味ですよね。で…「犀」ですか…。クロサイ、シロサイ、インドサイのあのツノのある動物だ。ネットで調べると「おとなしい性格で、あまり向かって行くことはなく、すぐ逃げてしまいます」とか「頑強な大きい体、分厚い皮膚、そして鼻先に生えた角が特徴。全て植物食である。また時速50kmで走行も可能、動物ファンの間では「陸の重戦車」と称えられることも」「一見、大人しそうだが実際は神経質な性格をしており、不用意に近付くと突進を仕掛けてこちらを追い払おうとする」なんて出てきます。この句にはいろんな読み方があると思いますが、私は「トイレのドアを開けて中に入ってしまうと突然犀のようになるのです」と読みました。トイレの中で犀になったら動けないでしょうね…(汗)この句のように、あっはっはと大声で、しかもあまり下品にならないで笑える句ってなかなかないですよね。 むさし
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隣室で凄い声がする 「有り難う」 柳本々々
(題「有」・月波与生 選・五客)
右側に有る無しで言えば有るこころ 柳本々々
(題「有」・月波与生 選・人位)
俺がミッフィーだったら有り得ない近代 柳本々々
(題「有」・月波与生 選・天位)
いま階段を落ちていることに気づく 柳本々々
(題「ドタバタ」・守田啓子 選・佳作)
この家のこの箇所だけは帆立です 柳本々々
(題「自由詠」・むさし 選・佳作)
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月蝕の途中だったんじん踊る 月波与生
自衛権 五段活用されている 〃
ゴブリンのまま米五合搗いている 〃
蓋だけになった 居るとこありますか 守田啓子
遊ぼうと時々左足が言う むさし
ダンスホールへ草かんむりでまぎれこむ 〃
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