【感想】性別が男で石を握ってる 角田古錐
- 2015/09/24
- 12:41
性別が男で石を握ってる 角田古錐
【ジェンダーと定型ととろろをめぐって】
川柳を〈読む〉ときに、その〈読み〉の過程のなかでジェンダーをどう扱えばいいのかという問題がひとつあると思うんですが、それを考えるためにはジェンダーと定型の関係を考えなければいけないようにおもうんですね。
たとえば、575=17音のなかにジェンダーはあるのか。もしあるとしたらそのジェンダーは語り手から派生しているのか、それとも読み手から派生しているのか、もしくはその両者が組み合ってジェンダーが生まれているのか。
なぜこんなことを考えるのかというと、たとえば古錐さんのこんなジェンダーをめぐる句にであったときに、ジェンダーの決定が定型からは不可能なんじゃないか、むしろ裏目にでていくんじゃないかとおもったからなんですね。
この句ではもちろん「性別が男で」と書いてあるから、そのままを受け取れば、性は〈男性ジェンダー〉ということになります。ただ定型という限られた音数のなかで〈わざわざ〉書いてあるのがジェンダーを錯綜させることにもなっているのではないかとおもうんです。
定型というのは限られているため、〈あたりまえ〉のことをいうと逆に〈あたりまえ〉でなくなってしまいます。意味が裏目にでるのです。
考えてみると「性別が男で」のあとに「石を握ってる」と「男」の描写をするのも不自然です。この「石を握ってる」はおそらく〈男性性〉を補強するための〈たくましさ〉になっているとも思うんですが、「性別が」と〈あえて〉ジェンダーを意識にのぼらせる説明を加えたために、「石を握ってる」の行き場も不自然になっています。
ジェンダーは意味生成としてのグラデーションのようなものなので、ジェンダーを決めるのはおそらく文脈や背景なのですが、定型詩にはそのコンテクストがない。
じゃあ、定型とジェンダーの関係はどうとらえればいいのか。定型のなかで発話された言葉の強度をどのレベルに設定するのか。
そういう言葉のレベルとも定型とジェンダーの関係はふかく関わってくるようにもおもうのです。
それぞれの時差を抱えてとろろ汁 角田古錐
【ジェンダーと定型ととろろをめぐって】
川柳を〈読む〉ときに、その〈読み〉の過程のなかでジェンダーをどう扱えばいいのかという問題がひとつあると思うんですが、それを考えるためにはジェンダーと定型の関係を考えなければいけないようにおもうんですね。
たとえば、575=17音のなかにジェンダーはあるのか。もしあるとしたらそのジェンダーは語り手から派生しているのか、それとも読み手から派生しているのか、もしくはその両者が組み合ってジェンダーが生まれているのか。
なぜこんなことを考えるのかというと、たとえば古錐さんのこんなジェンダーをめぐる句にであったときに、ジェンダーの決定が定型からは不可能なんじゃないか、むしろ裏目にでていくんじゃないかとおもったからなんですね。
この句ではもちろん「性別が男で」と書いてあるから、そのままを受け取れば、性は〈男性ジェンダー〉ということになります。ただ定型という限られた音数のなかで〈わざわざ〉書いてあるのがジェンダーを錯綜させることにもなっているのではないかとおもうんです。
定型というのは限られているため、〈あたりまえ〉のことをいうと逆に〈あたりまえ〉でなくなってしまいます。意味が裏目にでるのです。
考えてみると「性別が男で」のあとに「石を握ってる」と「男」の描写をするのも不自然です。この「石を握ってる」はおそらく〈男性性〉を補強するための〈たくましさ〉になっているとも思うんですが、「性別が」と〈あえて〉ジェンダーを意識にのぼらせる説明を加えたために、「石を握ってる」の行き場も不自然になっています。
ジェンダーは意味生成としてのグラデーションのようなものなので、ジェンダーを決めるのはおそらく文脈や背景なのですが、定型詩にはそのコンテクストがない。
じゃあ、定型とジェンダーの関係はどうとらえればいいのか。定型のなかで発話された言葉の強度をどのレベルに設定するのか。
そういう言葉のレベルとも定型とジェンダーの関係はふかく関わってくるようにもおもうのです。
それぞれの時差を抱えてとろろ汁 角田古錐
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